突然の痛みや違和感があれば、「すぐに終わらせたい」と思うのは自然なことです。とくに正月を含む年末年始は診療日も限られているので、少しでも早く治療を始めたいもの。まずは歯科医院で適切な診断を受け、必要に応じて神経の治療や詰め物の処置、炎症の除去など、症状を和らげる対応をしてもらいましょう。
短期間で完治が難しい場合は、応急処置や投薬で痛みを軽減しつつ、その後の治療計画を立てていくのが確実です。
「歯医者は年内に終わらせたい」と考える方は、毎年おられます。年末の慌ただしさの中で、歯の治療も早く片付けて新年を迎えたいという気持ちは理解できます。しかし、治療を急ぐあまり根本的な解決ができずに、後から再発したり他の問題が生じたりすることも考えられます。
そうしたトラブルを避けるためには、普段からの予防が大切です。
定期検診やクリーニングは、虫歯や歯周病を早い段階で発見・治療できるため、大きな治療へ進むリスクを抑えられます。さらに、日々のブラッシングやフロスなどのセルフケアも健康な歯を維持する上で欠かせません。年末になって慌てて歯医者へ駆け込む前に、生活の中に予防を取り入れましょう。そうすることで、「治療」から「予防」への意識を高め、落ち着いて年を越すことができるはずです。また、予防に努めていれば、余計な再通院や
治療が終わってから予防をするのではなく、治療と並行して日常的なケアも意識することで、高い治療効果と健康維持が期待できます。
治療が終わったあとこそが本当のスタートです。日常的なケアと予防習慣が身につけば、次の年末もトラブルなく過ごせるでしょう。


歯科医師 口腔外科学博士 練馬桜台駅前Y’s歯科院長
日本口腔インプラント学会認定医
「上質なwellnessを追求し、大切な人の豊かになる力をプロデュースし続ける」を理念に掲げ、地域に根付いた歯科診療を行っている
著書に 口腔外科のスタートライン 開業医が押さえておきたい基本手技(デンタルダイヤモンド社)などがある